EVの航続可能距離は、カタログ上の数値と実際の走行距離が異なることが多く、あてにならないと感じたことはありませんか?
特に長距離ドライブや寒暖差の激しい環境では、思った以上に航続距離が短くなり、計画通りに移動できないケースもあります。
「あと〇〇km走れるはず」と思っていたのに、急に航続距離が大幅に減り、焦ったことがある人もいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、航続距離があてにならない理由を解説し、実際の走行距離を伸ばすための方法を詳しく紹介します。
EVの航続距離を最大限活用し、快適なドライブを実現するために、ぜひ本記事を最後までご覧ください。
航続可能距離の変動要因を把握し、適切な対策を講じることで、充電の不安を軽減し、よりスムーズな移動を目指しましょう。
- 航続可能距離が変動する主な原因を理解できる
- 航続距離を伸ばす具体的な運転・管理方法が分かる
- EVの特性を把握し、充電計画の重要性を学べる
- 充電切れの不安を減らし、より快適にEVを運転できる
航続可能距離はあてにならないのか考察
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電気自動車(EV)に乗る多くの人が、航続可能距離の変動に戸惑った経験があるでしょう。
カタログに記載された数値と実際の走行距離が異なるのはなぜなのか。本当にあてにならないものなのか。
ここでは、その理由を詳しく解説し、航続距離を正しく理解するためのポイントを考察します。
- 航続可能距離とは
- 航続可能距離があてにならない理由
- 航続可能距離が増えたり減ったりする理由
- 航続可能距離がおかしいのはトヨタ車だけ?
- 航続可能距離の減りが早いのは何が原因?
- 航続可能距離が毎回違うのは壊れてる?
航続可能距離とは
航続可能距離とは、現在のバッテリー残量でどれだけの距離を走行できるかを示す目安です。
多くのEVでは、車載コンピューターが過去の走行データや現在の電力消費状況をもとに航続可能距離を算出し、メーターパネルに表示しています。
しかし、この数値はあくまで予測値であり、実際の走行距離とは異なることが多々あります。
航続可能距離は、運転スタイル、道路状況、気象条件、バッテリーの状態などによって変動します。
例えば、高速道路を一定速度で走行する場合と、市街地で頻繁に停車・発進を繰り返す場合では、消費する電力が異なるため、航続可能距離も変わります。
また、冬場にヒーターを使用したり、急加速を多用したりすると、バッテリーの消費が激しくなり、表示されていた航続可能距離よりも早く電力がなくなることもあります。
そのため、航続可能距離を鵜呑みにせず、あくまで参考値として捉え、余裕を持った走行計画を立てることが重要です。
航続可能距離があてにならない理由
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EVの航続可能距離は一定ではなく、さまざまな要因によって増減します。
車のシステムが計算した数値が実際の走行距離と合わないのは、測定基準や運転スタイル、環境条件などが関係しているためです。
以下に、その主な理由を詳しく見ていきましょう。
測定基準が実際と異なる
EVの航続可能距離は、WLTCモードやEPA基準といった試験方法に基づいて測定されます。
しかし、これらの測定は標準的な環境下で行われており、実際の走行条件とは異なります。
例えば、市街地と高速道路の走行比率や、加減速の頻度などが影響を及ぼします。
また、試験時はエアコンやシートヒーターなどの電装品がオフになっていることが多く、実際の使用状況とはかけ離れている場合があります。
そのため、カタログ値を鵜呑みにするのではなく、自身の走行環境に合わせた実測値を参考にすることが重要です。
運転スタイルで大きく変わる
EVは加速や減速の仕方によって電力消費量が大きく変わります。
急加速や急ブレーキを多用する運転では、バッテリーの消費が増えて航続距離が短くなります。
一方で、一定の速度で穏やかに走行することで、エネルギーの消費を抑え、航続可能距離を延ばすことが可能です。
また、回生ブレーキの活用も影響します。
頻繁にブレーキをかけることでエネルギーを回収できるため、市街地では航続距離が伸びやすいですが、高速道路ではその効果が薄れます。
運転の仕方によって、EVの走行距離が大きく変動することを理解しておくべきでしょう。
気象条件の影響を受ける
気温や天候はEVの航続距離に大きく影響します。
特に寒冷地では、バッテリーの性能が低下しやすく、満充電でも走行距離が短くなることがあります。
これは、低温下では化学反応が鈍くなり、バッテリーの出力が落ちるためです。
また、冬場はヒーターを使用する機会が増えるため、電力消費が増大します。
一方で、夏場はエアコンの使用が増えることにより、同様に航続距離が減少します。
こうした気象条件を考慮し、季節ごとに適切なエネルギー管理を行うことが求められます。
車の積載量で減少する
EVの航続可能距離は、車両の重量によっても変化します。
多くの荷物を積んで車両の総重量が増えると、加速時や登坂時により多くのエネルギーが必要となり、バッテリーの消費が早まります。
特に長距離ドライブや旅行などで荷物を多く積む場合は、航続距離が通常より短くなることを念頭に置くべきです。
軽量化を意識し、不要な荷物を減らすことが航続距離を延ばす一つの方法になります。
バッテリーの状態が影響する
バッテリーの劣化も航続距離に影響を与える要因の一つです。
EVのバッテリーは充放電を繰り返すことで徐々に劣化し、新車時に比べて蓄えられる電力が減少します。
特に急速充電を頻繁に利用すると、バッテリーに負荷がかかり、劣化が早まる可能性があります。
また、バッテリーの温度管理が不十分な場合、充電効率が低下し、実際に使える電力が減少することもあります。
そのため、バッテリーの状態を適切に管理し、定期的な点検やメンテナンスを行うことが、航続距離を維持するために重要です。
航続可能距離が増えたり減ったりする理由
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EVの航続可能距離は常に一定ではなく、さまざまな要因によって変動します。
同じルートを走行しても、日によって距離が伸びたり縮んだりすることに戸惑う方も多いでしょう。
その理由を理解することで、より効率的な走行が可能になります。
ここでは、主な要因について詳しく解説します。
走行中の運転スタイル
運転の仕方は、航続可能距離に大きく影響します。
急加速や急ブレーキを多用すると、電力消費が増え、航続距離が短くなります。
特に高速道路での加速や、信号待ちからの急発進などは、バッテリーを消耗させる原因となります。
一方で、穏やかな運転を心がけ、一定の速度を維持しながら走行することでエネルギー効率を向上させ、航続距離を延ばすことが可能です。
また、回生ブレーキを積極的に活用することで、減速時のエネルギーを再利用でき、航続距離の伸びにつながります。
充電状態の変化
バッテリーの充電状況によっても、航続可能距離の表示が変わります。
満充電時と残量が少ない状態では、システムの予測値に差が出ることがあります。
また、充電の方法によっても影響を受けることがあります。
例えば、急速充電を多用するとバッテリーの劣化が早まり、一回の充電で走れる距離が短くなる可能性があります。
逆に、バッテリーの適切な管理を行い、推奨される範囲で充放電を行うことで、安定した航続距離を確保しやすくなります。
車両の温度やエアコン使用
EVのバッテリーは温度に敏感であり、車両の温度管理が航続距離に大きく影響します。
特に冬場の寒冷地では、バッテリーの化学反応が鈍くなり、電力の出力が低下するため、航続距離が短くなることがあります。
また、ヒーターの使用もバッテリーを大きく消耗させる要因の一つです。
逆に、夏場はエアコンの使用によって電力が消費され、同様に航続距離が減少します。
車内の温度管理を工夫し、必要以上に暖房や冷房を使わないことで、航続距離を維持することが可能です。
高速道路と市街地の違い
EVの航続距離は、走行する環境によっても変化します。
一般的に、高速道路よりも市街地の方が航続距離が長くなる傾向があります。
これは、市街地では信号や渋滞の影響で頻繁に減速と停止が発生し、その際に回生ブレーキを活用できるためです。
一方、高速道路では一定の速度で走行するものの、空気抵抗の影響や加速時の電力消費が大きくなるため、バッテリーの消費が激しくなります。
そのため、長距離走行を計画する際は、市街地と高速道路の比率を考慮しながら、充電のタイミングを調整することが重要です。
道路の傾斜やアップダウン
走行する道路の地形も航続距離に影響を与えます。
登り坂では車両の重量を持ち上げるために多くの電力が必要となり、航続可能距離が短くなります。
特に長い上り坂が続く道では、バッテリーの消耗が早まるため、注意が必要です。
一方で、下り坂では回生ブレーキによってエネルギーを回収できるため、電力の消費を抑えることができます。
アップダウンの激しいルートでは、登りと下りのバランスを考えた走行を意識することで、航続距離の管理がしやすくなります。
航続可能距離がおかしいのはトヨタ車だけ?
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EVに乗っていると、航続可能距離の変動が大きく「この表示はおかしいのでは?」と感じることがあります。
この問題はトヨタ車に限らず、すべてのEVで起こり得るものです。
トヨタのEV(例:bZ4X)は独自の電力管理システムを搭載しており、過去の走行データを反映して航続可能距離を算出します。
そのため、走行パターンが変わると航続可能距離の表示が急激に変動することがあります。
しかし、これは日産やテスラ、ホンダのEVでも同様に見られる現象です。
特に、急速充電を頻繁に利用する場合や、極端な気温の中で走行する場合、バッテリーのパフォーマンスが変化し、それに応じて航続可能距離の表示も変動します。
また、充電直後に航続距離が大きく変わるのも一般的な現象です。
結論として、航続可能距離の表示が大きく変わるのはトヨタ車だけの問題ではなく、EV全般に共通する仕様といえます。
航続可能距離の減りが早いのは何が原因?
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航続可能距離が急激に減る原因はいくつか考えられます。
最も一般的なのは、運転スタイルと電力消費の増加です。
例えば、急加速や高速走行を行うと、バッテリーの消費が大きくなり、想定よりも早く電力が減ります。
また、冬場の寒冷地ではバッテリーの性能が低下し、航続可能距離が短くなることがあります。
エアコンやシートヒーターの使用も大きな影響を与えます。
特に冬場は、バッテリーのエネルギーを車内の暖房に使うため、走行に使える電力が減り、航続可能距離が短くなります。
夏場でも、エアコンをフル稼働させることで同様の現象が起こります。
また、バッテリーの劣化も原因の一つです。EVのバッテリーは長期間使用すると少しずつ劣化し、蓄えられる電力が減少します。
特に急速充電を多用すると、バッテリーに負荷がかかり、劣化が早まる可能性があります。
これらの要因を理解し、穏やかな運転や適切なエネルギー管理を行うことで、航続可能距離の減りを抑えることができます。
航続可能距離が毎回違うのは壊れてる?
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航続可能距離の表示が毎回違うと、「車が壊れているのでは?」と不安に感じるかもしれません。
しかし、この変動はEVの仕様上、自然な現象であり、故障とは限りません。
航続可能距離は、現在のバッテリー残量だけでなく、直近の運転状況や気象条件などを考慮して計算されます。
そのため、前回の走行がエネルギー消費の少ない条件(例えば、穏やかな運転や市街地走行)だった場合と、高速道路での加速を多用した走行だった場合では、システムが算出する航続距離が大きく変わることがあります。
また、外気温が低いとバッテリーの性能が低下し、航続可能距離が短く表示されることがあります。
逆に、暖かい日に走行するとバッテリーの効率が向上し、航続距離が長くなることもあります。
充電後に急に表示が変わるのも、システムが最新の状態に基づいて計算し直しているためです。
このように、航続可能距離の変動はEVの正常な動作の一部であり、表示が毎回違うからといって必ずしも車が故障しているわけではありません。
ただし、明らかに実際の走行距離とかけ離れている場合は、ディーラーで診断を受けることをおすすめします。
航続可能距離はあてにならない時の考え方
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EVに乗る上で、航続可能距離の表示はあくまで「目安」であり、実際の走行距離とは異なることを理解することが重要です。
運転の仕方や気象条件によって変動するため、「表示通りに走れる」と過信すると、予想外のタイミングで充電が必要になることもあります。
そこで、航続可能距離が変動しやすいことを前提に、充電の計画や運転の仕方を工夫することで、ストレスなくEVを活用することができます。
ここでは、航続距離を過信しないための対策を紹介します。
- 航続距離を過信しないための対策
- 航続可能距離の増やし方
- 航続可能距離のリセット方法
- 航続可能距離が長い車ランキング
- 軽自動車の航続可能距離は長い?短い?
- 航続可能距離はあてにならないと思った体験談
航続距離を過信しないための対策
EVの航続距離を過信してしまうと、途中で電力が不足し、充電スポットを探すのに苦労することがあります。
特に長距離を移動する際や、天候が不安定な時には、慎重な計画が必要です。
ここでは、航続可能距離を正しく理解し、安全にEVを運用するための具体的な対策を紹介します。
予備距離を考えた計画を立てる
航続可能距離の表示は変動するため、「あと何キロ走れるか」をぎりぎりまで計算して走るのは危険です。
特に、バッテリー残量が少なくなると、急激に航続可能距離が短くなることがあります。
そのため、余裕をもった走行計画を立てることが重要です。
例えば、航続距離の70~80%程度を実際の走行距離の目安とし、充電スポットが少ないエリアではさらに余裕をもつようにしましょう。
また、高速道路や山道では消費電力が増えるため、計画を立てる際にはそうした要素も考慮すると安心です。
事前に充電スポットを確認する
EVで長距離を走る場合、事前に充電スポットを確認しておくことが必須です。
特に地方や山間部では、充電設備が少ないため、適切なタイミングで充電できるよう計画しておく必要があります。
現在は、ナビやスマホアプリを活用すれば、最寄りの充電スポットを簡単に検索できます。
また、急速充電器が利用できる時間帯や、混雑状況をリアルタイムで確認できるサービスもあるため、計画的に充電できるようにしましょう。
天候に合わせた運転を心がける
気温や天候は、EVのバッテリー性能に大きく影響します。
特に冬場はバッテリーの効率が下がり、表示された航続可能距離よりも早く電力が消費されることがあります。
そのため、寒冷地を走行する際には、バッテリーが冷えすぎないように事前に温める「プレコンディショニング機能」を活用するのも一つの方法です。
また、雨や風の影響で走行抵抗が増すと消費電力も上がるため、そうした環境ではスムーズな運転を心がけ、無駄なエネルギー消費を抑えるようにしましょう。
車内の温度管理を適切に行う
エアコンやヒーターの使用は、バッテリー消費を大きく左右する要因の一つです。
特に冬場のヒーター使用は電力を多く消費し、航続可能距離を大幅に縮めることがあります。
この対策として、シートヒーターやステアリングヒーターを活用することで、車内全体を暖めるよりも少ない電力で快適な環境を維持できます。
また、夏場は窓のサンシェードを活用したり、駐車時に日陰を選んだりすることで、エアコンの使用を最小限に抑えることができます。
定期的にバッテリーをチェックする
バッテリーの劣化が進むと、航続可能距離が短くなるだけでなく、充電の効率も悪くなります。
そのため、定期的なバッテリーチェックを行い、劣化状況を把握することが重要です。
EVの多くは、バッテリーの健康状態(SOH:State of Health)を確認できる機能が備わっています。
定期的にチェックし、異常があれば早めに専門家に診てもらうことで、バッテリー性能を最適に保つことができます。
また、急速充電を頻繁に利用するとバッテリーに負荷がかかるため、可能であれば普通充電を併用するのが望ましいでしょう。
航続可能距離の増やし方
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EVの航続可能距離は、運転方法や車両の管理次第で大きく変わります。
特に日常的な運転の工夫や、車両のメンテナンスを適切に行うことで、バッテリーの消費を抑え、より長く走行することが可能です。
ここでは、航続可能距離を延ばすために実践できる具体的な方法を紹介します。
エコモードを活用する
多くのEVには「エコモード」が搭載されており、これを活用することで電力消費を抑えることができます。
エコモードをオンにすると、加速が穏やかになり、エアコンなどの電力使用も最適化されるため、バッテリーの持ちが向上します。
ただし、急な加速が必要な場面ではレスポンスが鈍くなるため、走行環境に応じて適切に使い分けることが重要です。
市街地や渋滞時にはエコモードを活用し、高速道路では通常モードと併用することで、快適さと電費のバランスを取ることができます。
穏やかな運転を心がける
急加速や急ブレーキを多用すると、エネルギー消費が増え、航続可能距離が短くなります。
特に、強いアクセル操作はバッテリーへの負担が大きく、効率の悪い走行につながります。
そこで、穏やかなアクセルワークを意識し、一定の速度を保つように走行すると電費が向上します。
また、回生ブレーキ(回生エネルギー回収機能)を有効活用することで、減速時にエネルギーを回収し、航続距離を伸ばすことができます。
余分な荷物を積まない
車両の重量が増えると、それだけエネルギー消費も増加します。
特に、トランクに不要な荷物を積んでいると、気づかないうちに航続距離を短くしてしまうことがあります。
軽量化することでバッテリーの消費を抑えられるため、普段使わない荷物は積みっぱなしにせず、必要最小限にするのが理想的です。
また、ルーフキャリアなどを取り付けている場合、空気抵抗が増えて電費が悪化するため、使用しない時は取り外すのも有効です。
タイヤの空気圧を適正に保つ
タイヤの空気圧が低いと、転がり抵抗が増加し、電費が悪化します。
特にEVはバッテリーを搭載している分、車重が重いため、適正な空気圧を維持することが重要です。
定期的に空気圧をチェックし、メーカー推奨の値を維持することで、エネルギー効率の良い走行が可能になります。
また、エネルギー効率の高い「低燃費タイヤ」や「EV専用タイヤ」を選ぶことで、さらなる電費向上が期待できます。
定期的なメンテナンス
車両のメンテナンスを怠ると、航続距離に悪影響を及ぼすことがあります。
例えば、ブレーキパッドが摩耗していると回生ブレーキの効率が低下し、エネルギー回収量が減ってしまいます。
また、バッテリーの冷却システムが適切に機能していないと、バッテリーの性能が低下し、航続距離が短くなることもあります。
定期的な点検を行い、異常がないかを確認することで、EVの性能を最大限に発揮することができます。
特に、バッテリーの健康状態をチェックし、劣化が進んでいる場合は早めに対処することが重要です。
航続可能距離のリセット方法
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EVの航続可能距離が急に変化したり、不自然に短くなったりすることがあります。
こうした場合、バッテリーやシステムのリセットを行うことで、表示が適正に戻ることがあります。
ここでは、航続可能距離をリセットするための具体的な方法を紹介します。
車両の再起動を試す
EVはコンピューター制御が多いため、一時的なシステムエラーが発生することがあります。
そのため、まずは車両の再起動を試してみるのが有効です。
多くのEVは、電源を完全にオフにして数分待ち、再度起動することで、システムのリフレッシュが行われます。
特に、航続可能距離の表示が急に減った場合や、異常な数値が出る場合には、単純な再起動で解決することもあります。
バッテリーの完全放電・再充電
バッテリーの残量計算は、蓄積されたデータに基づいて行われます。
そのため、長期間にわたり部分充電を繰り返していると、実際のバッテリー残量とシステムの計算がずれることがあります。
このズレをリセットするためには、一度バッテリーをほぼ空の状態まで使い切り、その後100%まで充電する「完全放電・再充電」を試すと良いでしょう。
ただし、頻繁に行うとバッテリーの寿命を縮める可能性があるため、年に1〜2回程度に留めるのが理想的です。
電力管理システムのリセット
EVには、バッテリーの充放電を管理する電力管理システム(BMS)が搭載されています。
このシステムの設定がずれていると、実際のバッテリー容量と表示される航続可能距離が合わなくなることがあります。
車両の取扱説明書を確認し、電力管理システムのリセット方法を試すことで、バッテリーの状態を正確に反映させることができます。
特に、長期間使用していない場合や、急激に航続距離が短くなった場合には、この方法が有効です。
車両の走行モードを変更する
EVにはエコモード、スポーツモードなど、いくつかの走行モードが搭載されています。
これらのモードを切り替えることで、航続可能距離の計算方法が変わることがあります。
例えば、スポーツモードではパワフルな加速が可能になる一方で、エネルギー消費が増えるため、航続距離の表示が短くなることがあります。
一度通常モードに戻し、その後エコモードに変更してみると、表示が安定する場合があります。
ソフトウェアのアップデート
EVはソフトウェアによってバッテリー管理や航続可能距離の計算が行われているため、古いソフトウェアを使っていると、航続距離の表示が正しくない場合があります。
メーカーが提供するアップデートを適用することで、システムの精度が向上し、より正確な航続距離が表示されるようになります。
特に、最近のEVはOTA(Over-the-Air)アップデートに対応していることが多いため、定期的に最新のバージョンを確認し、更新することをおすすめします。
航続可能距離が長い車ランキング
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EVを選ぶ際、航続可能距離の長さは重要なポイントです。
充電の頻度を減らし、長距離ドライブを快適にするためにも、できるだけ長く走れる車を選びたいところ。
ここでは、日本で購入できるEVの中から、特に航続距離が長い車種を紹介します。
スバル ソルテラ
スバルが開発した初のEV「ソルテラ」は、航続可能距離が最長567kmに達するモデルです。
この車は、トヨタと共同開発され、EVでありながらスバルらしいAWD(四輪駆動)性能を備えています。
大容量バッテリーを搭載しており、長距離ドライブにも対応できるのが魅力です。
また、SUVとしての高い走破性を持ち、アウトドア用途にも適しています。都市部から郊外まで幅広く活躍できる1台です。
トヨタ bZ4X
トヨタの「bZ4X」は、トヨタが本格的にEV市場へ参入したモデルで、最大559kmの航続距離を誇ります。
bZシリーズ(Beyond Zero)として開発され、環境負荷を抑えながらも快適な走行性能を追求。
ソルテラと同じプラットフォームを採用し、低重心で安定した走りを実現しています。
さらに、充電効率が良いため、長距離移動をするドライバーにも適したEVです。
日産 アリア
日産がリーフに続いて開発したEV「アリア」は、航続距離470kmを誇るSUVタイプのEVです。
B9グレードだと640kmだと紹介されており、かなり長い距離を走れることになります。
日産アリアには、最新技術が詰め込まれており、プロパイロット2.0による高性能な運転支援システムを搭載。
長距離ドライブでも快適に運転できるのが魅力です。
また、内装の高級感や広々とした室内空間も評価されています。都市部だけでなく、旅行やレジャー用途にもおすすめのEVです。
日産 リーフ
長年にわたりEV市場をリードしてきた「日産リーフ」の航続距離は、WLTCモードで「450km」、JC08モードで「550km」と紹介されています。
リーフは長い歴史を持つEVとして、信頼性や充電インフラの充実度が高いのがポイントです。
コンパクトなボディながらも、実用性の高い車であり、街乗りから中距離のドライブまで幅広く活用できます。
知名度が高く、初めてEVを購入する方にもおすすめのモデルだといえるでしょう。
レクサス UX 300e
レクサスのEV「UX 300e」は、航続距離が367kmと、やや短めではあるものの、2023年3月30日にリニューアルされたモデルでは、512kmまで伸長されました。
UX300eは、ラグジュアリーな乗り心地と静粛性に優れています。
特に市街地走行でのスムーズな加速や、レクサスならではの上質なインテリアが特徴的。都市部での利用がメインの方にはぴったりのモデルです。
長距離走行には向いていませんが、普段の通勤や買い物などの用途には十分な航続距離を持っています。
軽自動車の航続可能距離は長い?短い?
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EVの軽自動車は、ガソリン車と同様に普通車と比べて車体が小さく、電費(電力消費効率)が良いように思われがちですが、実際には航続可能距離が短い傾向にあります。
その理由の一つは、搭載されるバッテリー容量の違いです。
一般的なEVは、50kWh以上のバッテリーを搭載することが多いですが、軽EVは車体重量やコストの制約から、20kWh前後のバッテリーを採用していることがほとんどです。
バッテリー容量が小さいと、一度の充電で走行できる距離も短くなります。
例えば、日産サクラや三菱eKクロスEVは、満充電での航続距離が180km程度と、普通車のEV(400~500km)と比べるとかなり短くなっています。
ただし、軽EVは都市部での近距離移動を主な用途として設計されているため、短い航続距離でも十分に実用的です。
小回りが利き、電費も比較的良いため、街乗りメインで使用する場合にはメリットが多いでしょう。
一方で、長距離移動が多い場合は、頻繁な充電が必要になるため、普通車のEVの方が適しているかもしれません。
航続可能距離はあてにならないと思った体験談
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以前、旅行先で日産サクラをレンタルしました。
軽EVの乗り心地を試してみたくて選んだのですが、走り出してすぐに「航続可能距離は本当にあてになるのか?」という疑問が湧いたのです。
レンタカーを受け取った時、メーターには「航続可能距離150km」と表示されていました。
充電の心配はなさそうだと安心し、観光地を巡るプランを立てることに。
しかし、走り出して30kmほど進んだところで、表示が急に「残り80km」になったのです。
特に急加速したわけでもなく、エアコンも控えめに使っていたのに、予想以上に減りが早い。
さらに、高速道路に入った途端、航続距離の減少スピードが加速しました。
バッテリー残量を気にしながら走るのはストレスで、次の充電スポットを探すことに。充電時間も予定より長くかかり、旅行のスケジュールが狂いました。
筆者がEVについて詳しくないというのもありますが、航続可能距離はあくまで目安であり、運転環境や条件によって大きく変動することを痛感しました。
EVを使う際は、航続距離を過信せず、余裕を持った計画が必須だと思います。
航続可能距離はあてにならないの総括
記事のポイントをまとめます。
- EVの航続可能距離はカタログ値と実際の走行距離が大きく異なる
- 走行中の運転スタイルによって航続距離が大幅に変動する
- 気温や天候の影響でバッテリーの消耗スピードが変わる
- 車両の積載量が増えると航続可能距離が短くなる傾向がある
- 高速道路走行時は市街地走行よりも電力消費が多くなる
- 充電状態やバッテリーの劣化も航続距離の変化に影響を与える
- 航続可能距離を伸ばすには穏やかな運転が効果的
- 事前に充電スポットを確認し、余裕を持った計画が必要
- エアコンの使用はバッテリー消費を増やし、航続距離を縮める
- 航続可能距離が毎回違うのは故障ではなく様々な要因が影響している