アクティトラックは、農業や配送業など幅広いシーンで活躍する軽トラックですが、「持病」とも言える特有のトラブルがあることをご存じでしょうか。
特に、ヘッドガスケット抜けやオイル漏れ、足回りの劣化といったトラブルは、多くのアクティトラックオーナーが経験しています。
適切なメンテナンスを怠ると、大きな修理費用がかかる可能性もあり、購入後に後悔するケースも少なくありません。
そこで本記事では、アクティトラックの持病やデメリットについて詳しく解説し、それらを防ぐためのメンテナンス方法もご紹介します。
「中古のアクティトラックを購入したいが、故障のリスクが心配」「すでにアクティに乗っているが、トラブルを未然に防ぎたい」という方にとって、役立つ内容です。
アクティトラックを安心して乗るために、まずは持病の特徴や対策をしっかり押さえておきましょう。
- アクティトラックの持病やトラブルの具体的な内容を理解できる
- 購入前に注意すべきポイントやメンテナンス方法がわかる
- 修理費用の目安やパーツ供給の状況を知ることができる
- 長く快適に乗るための対策やおすすめ年式を把握できる
アクティトラックの持病を考察

ホンダ・アクティトラックは、軽トラック市場で長年愛されてきたモデルです。
しかし、中古車として購入を検討する際には、特有の「持病」やトラブルについて把握しておくことが重要です。
本記事では、アクティトラックの基本的な特徴を整理しつつ、よくある不具合やその対策について詳しく解説します。
- アクティトラックの特徴
- アクティトラックの持病やトラブル
- アクティトラックのデメリット
- アクティトラックの生産終了の理由は?
- アクティトラックの寿命はどのくらい?
- ヘッドガスケットのリコールはでてる?
アクティトラックの特徴
アクティトラックは、軽トラックの中でも個性的な設計を持ち、農業や運搬用途で高い評価を受けています。
特に、ミッドシップレイアウトや優れた積載性能が特徴的です。
まずは、その基本的な仕様について確認していきましょう。
軽自動車規格のトラック
アクティトラックは、日本の軽自動車規格に適合したトラックであり、コンパクトながら高い実用性を備えています。
軽自動車規格により、全長3.4m以下・全幅1.48m以下・排気量660cc以下という制約があるものの、小回りの利く設計で狭い道や農地でも扱いやすいのが魅力です。
また、軽自動車のため自動車税や重量税が抑えられ、維持費が安く済む点もメリットの一つです。
農業や小規模な運搬作業に適しており、コストを抑えながら実用性を求める方に支持されています。
ミッドシップレイアウト(MR駆動)
アクティトラックの大きな特徴の一つが、ミッドシップレイアウト(MR駆動)を採用している点です。
通常、軽トラックはフロントエンジン・リア駆動(FR)が一般的ですが、アクティはエンジンをキャビン下部に配置し、後輪を駆動する独自の構造になっています。
この設計により、前後の重量バランスが良くなり、積載時でも安定した走行が可能になります。
また、駆動力の伝達効率が高いため、ぬかるんだ農地や悪路でもトラクションを確保しやすいというメリットもあります。
ただし、エンジンの位置関係から整備性にはやや難があり、修理時に手間がかかる場合があります。
積載性に優れる
軽トラックとしてのアクティは、積載性能にも優れています。
最大積載量は350kgと、軽トラックの規格内で最大限の積載能力を確保しています。
また、荷台はフルフラット仕様で、荷物を効率よく積み込めるのが特徴です。
さらに、3方開きの荷台を採用しているため、側面からの積み下ろしもスムーズに行えます。
これにより、農作業や配送業務において高い利便性を発揮します。
エンジンと燃費
アクティトラックには、ホンダ独自のE07Z型エンジンが搭載されており、軽トラックとしては十分なパワーを持っています。
660ccの3気筒エンジンは、高回転までスムーズに回る特性を持ち、農道や山道でも力強い走りが可能です。
燃費性能については、MT(マニュアル)仕様で15~18km/L、AT(オートマチック)仕様で12~15km/L程度と、軽トラックの中では平均的な数値です。
ただし、エンジンの設計上、高回転での使用が多くなるため、オイル管理を怠ると内部の摩耗が進みやすい傾向があります。
定期的なオイル交換を行うことで、燃費性能と耐久性を維持することが重要です。
耐久性と信頼性
ホンダ・アクティトラックは、耐久性と信頼性にも定評があります。
商用車としての使用を前提に作られているため、エンジンやシャーシの設計が頑丈で、適切なメンテナンスを行えば20万km以上の走行も可能です。
また、サスペンションやブッシュ類も耐久性の高い部品が使われており、悪路でもしっかりと耐えられる作りになっています。
しかし、長年の使用によってゴム部品やシール類が劣化し、オイル漏れや異音が発生しやすくなるため、定期的な点検が欠かせません。
アクティトラックの持病やトラブル

アクティトラックは耐久性に優れた軽トラックですが、長年使用するうちに特有の不具合が発生することがあります。
特に、中古車を購入する際には、これらの「持病」ともいえる問題を把握し、事前に対策を講じることが重要です。
ここでは、アクティトラックでよく見られるトラブルについて詳しく解説します。
オイル漏れやオイル滲み
アクティトラックでは、エンジンのガスケットやオイルシールの劣化により、オイル漏れやオイル滲みが発生しやすい傾向があります。
特に、エンジンヘッドガスケットやクランクシール部分からの漏れが多く報告されています。
オイルが滲んでいるだけなら大きな問題にはなりにくいですが、放置するとエンジンオイルの減少を招き、最悪の場合エンジンが焼き付く原因となります。
また、オイルが排気系に付着すると異臭や白煙の原因になることもあるため、定期的な点検と早めのガスケット交換が推奨されます。
冷却水(LLC)漏れやオーバーヒート
アクティトラックは、冷却水(LLC)の漏れや、それに伴うオーバーヒートのトラブルが発生しやすい車種の一つです。
特に、ラジエーターの経年劣化やウォーターポンプの故障が原因となることが多く、冷却系統の不具合を放置するとエンジンの焼き付きにつながります。
また、ホースやシール部分からの冷却水滲みも注意が必要です。
定期的に冷却水の量を確認し、減りが早い場合は冷却系統の点検を行うことが重要です。
オーバーヒートが発生すると、ヘッドガスケット抜けのリスクも高まるため、異常を感じたらすぐに修理を検討しましょう。
ミッションのシフト不良
アクティトラックは、長年の使用によるミッションのシフト不良が報告されています。
特に、MT(マニュアル)車ではクラッチの摩耗やシンクロメッシュの劣化が原因で、ギアの入りが悪くなったり、シフト操作が重くなることがあります。
また、AT(オートマチック)車では、トルクコンバーターの劣化やATF(オートマチックトランスミッションフルード)の劣化により、変速時のショックや滑りが発生することがあります。
定期的なオイル交換や、異常を感じた際の早めの点検が、ミッションの寿命を延ばすポイントとなります。
足回りのブッシュやゴム類の劣化
アクティトラックは農道や未舗装路で使用されることが多いため、足回りのブッシュやゴム類の劣化が進みやすい傾向にあります。
サスペンションのブッシュが劣化すると乗り心地が悪化し、走行時の安定性も低下します。
また、スタビライザーリンクのブーツやロアアームのゴム類が劣化すると、異音やガタつきが発生することがあります。
これらの部品は消耗品のため、定期的な点検と交換が推奨されます。
特に、中古車を購入する際には、足回りの状態をしっかり確認し、劣化が進んでいる場合は交換を検討しましょう。
フレームの腐食やサビ
アクティトラックは、フレームの腐食やサビが発生しやすい車両の一つです。
特に、雪国や海沿いの地域で使用されていた車両は、融雪剤や塩害の影響でフレームが錆びていることが多いです。
フレームが錆びると強度が低下し、最悪の場合、走行中の破損につながることもあります。
購入時にはフレームの状態を確認し、サビが進行している場合は防錆処理を施すことが重要です。
また、定期的に下回りを洗浄し、防錆スプレーを塗布することで、フレームの寿命を延ばすことができます。
アクティトラックのデメリット

アクティトラックは軽トラックの中でも優れた性能を持っていますが、一方でいくつかのデメリットも存在します。
特に、ホンダが軽トラック市場から撤退したことにより、パーツの供給やメンテナンス面での不安も指摘されています。
ここでは、アクティトラックの主なデメリットについて詳しく解説します。
生産終了によるパーツ不足
ホンダは2021年にアクティトラックの生産を終了しました。
これにより、新品パーツの供給が徐々に減少しており、修理やメンテナンスの際に部品が入手しづらくなっています。
特に、外装パーツやミッション関連部品、エンジン周りの部品は希少になりつつあります。
また、ディーラーでの修理対応が縮小される可能性もあるため、中古車を購入する際には、消耗品や修理パーツの入手経路を確保しておくことが重要です。
一部の部品は互換品やリビルト品で代用できるものの、将来的な維持コストが上がる点には注意が必要です。
乗り心地が硬い
アクティトラックは、商用車として設計されているため、サスペンションのセッティングが硬めになっています。
特に、荷物を積んでいない状態では、路面の凹凸を拾いやすく、乗り心地が悪く感じられることがあります。
これは、積載時の安定性を重視した設計のためであり、商用用途としてはメリットにもなりますが、日常的な移動手段として考えた場合は快適性に欠ける部分があります。
社外品のショックアブソーバーやクッション性の高いシートに交換することで、ある程度改善は可能ですが、乗り心地の硬さは軽トラック全般に共通する課題でもあります。
高速走行が苦手
アクティトラックは、農作業や市街地での運搬用途を想定して作られているため、高速道路での走行にはあまり適していません。
特に、軽トラック特有の軽量なボディと短いホイールベースの影響で、高速域では直進安定性が低く、横風の影響を受けやすいです。
また、660ccエンジンの特性上、高速走行時にはエンジン回転数が高くなり、燃費の悪化やエンジンへの負担が大きくなります。
長距離移動が多い方や、高速道路を頻繁に利用する方には、他の選択肢を検討するのも一つの手です。
室内空間が狭い
アクティトラックは、軽自動車規格の制約により、キャビン(室内空間)が非常にコンパクトに作られています。
運転席と助手席のスペースは最小限に抑えられており、特に背の高い方や体格の大きい方にとっては窮屈に感じることがあります。
また、収納スペースも限られているため、荷物を置く場所に困ることもあるでしょう。
長時間の運転では疲れやすくなるため、クッションやシートカバーを活用するなど、少しでも快適に過ごせる工夫が必要です。
衝突安全性が低い
アクティトラックは、設計が比較的古いため、最新の軽トラックと比べると衝突安全性が劣ります。
特に、軽トラックはフロント部分が短く、衝突時のクラッシャブルゾーン(衝撃吸収スペース)がほとんどないため、前面衝突の際のダメージが大きくなりやすいです。
また、エアバッグや衝突軽減ブレーキなどの安全装備も限定的で、最近の乗用車と比べると安全面での不安が残ります。
安全性を重視する場合は、後付けのシートベルトパッドや補強バーを追加するなど、可能な範囲で対策を施すのが望ましいでしょう。
アクティトラックの生産終了の理由は?

アクティトラックは長年にわたりホンダの軽トラックとして人気を集めていましたが、2021年に生産が終了しました。
その主な理由は、厳しくなる環境規制や安全基準への対応が困難になったことにあります。
近年、自動車業界では排ガス規制が強化され、燃費や排出ガス性能を向上させる必要がありました。
しかし、アクティトラックの設計は比較的古く、新たな環境基準に適合させるためには大幅な改良が必要でした。
また、軽トラック市場では衝突安全性の向上が求められており、新型車には自動ブレーキなどの先進的な安全装備の搭載が必要とされています。
これらの要件を満たすには開発コストが増大し、採算が取れない状況になったと考えられます。
さらに、国内市場における軽トラックの需要は一定数あるものの、大手メーカーではスズキやダイハツが市場をリードしており、ホンダとしては軽トラック事業の継続が難しいと判断されたようです。
そのため、長年親しまれてきたアクティトラックは惜しまれつつも生産終了となりました。
アクティトラックの寿命はどのくらい?

アクティトラックの寿命は、使用状況やメンテナンスの頻度によって大きく異なりますが、一般的には走行距離15万〜20万キロ程度が一つの目安とされています。
ただし、農業や建設業などの過酷な環境で使用されることが多いため、適切なメンテナンスを怠ると、それよりも早く不具合が発生することもあります。
特に、エンジンやミッションのオイル交換を定期的に行い、冷却水(LLC)やブレーキフルードなどの交換も怠らないことが寿命を延ばすポイントとなります。
また、アクティトラックはフレームの腐食やサビが発生しやすい車種のため、塩害の影響を受ける地域では防錆処理を行うことが重要です。
実際には、適切な整備を行えば20万キロ以上走る車両も多く存在し、30万キロ以上の走行実績を持つ個体もあります。
中古市場では走行距離10万キロを超えているものも多いですが、エンジンの調子や足回りの状態をしっかり確認することで、長く乗り続けることが可能です。
ヘッドガスケットのリコールはでてる?

アクティトラックのヘッドガスケットに関するリコールは実施されていませんが、メーカー側で保証期間の延長措置が取られたことがあります。
出典:VAMOS、VAMOS Hobio、アクティのシリンダーヘッドガスケットの保証期間延長 | Honda
これは、エンジンの高負荷運転を頻繁に繰り返すことで冷却水の温度が異常に上昇し、水温警告灯が点灯するケースが確認されたためです。
この問題に対応するため、ホンダはシリンダーヘッドガスケットの保証期間を通常の8年から最大9年間に延長しました。
すでに8年以上経過した車両についても、追加で1年間の保証延長が適用されました。
保証期間内にホンダの販売店で点検を受け、ヘッドガスケットの異常が確認された場合には、無償で交換対応が行われていました。
ただし、この保証延長はすでに適用期間が終了している可能性があります。
そのため、中古でアクティトラックを購入する場合は、過去にヘッドガスケットの交換歴があるかを確認し、必要に応じて点検を行うことが重要です。
また、定期的な冷却水の管理やオーバーヒート対策を徹底することで、ヘッドガスケット抜けのリスクを抑えることができます。
アクティトラックの持病を改善する方法

アクティトラックは優れた耐久性を持つ軽トラックですが、一部の持病やトラブルが発生しやすいことも事実です。
特に、ヘッドガスケット抜けはアクティトラックでよく見られる問題の一つで、放置するとエンジンに深刻なダメージを与える可能性があります。
しかし、早期に症状を見極め、適切な対応を行うことで、トラブルの進行を防ぎ、長く乗り続けることが可能です。
ここでは、アクティのヘッドガスケット抜けの症状と改善する方法について解説します。
- アクティのヘッドガスケット抜け症状
- アクティのヘッドガスケット抜け対策
- 中古で購入する際の注意点
- アクティのヘッドガスケット交換費用は?
- アクティトラックのおすすめ年式は?
- アクティトラックの試乗体験談
アクティのヘッドガスケット抜け症状
ヘッドガスケットは、エンジン内部のシリンダーヘッドとエンジンブロックを密閉し、冷却水やオイル、燃焼ガスが混ざらないようにする重要なパーツです。
しかし、経年劣化やオーバーヒートの影響で、このガスケットが損傷すると、さまざまな不具合が発生します。
以下のような症状が見られた場合は、ヘッドガスケット抜けを疑い、早めに点検や修理を行うことが重要です。
冷却水が減る
ヘッドガスケットが抜けると、エンジン内部の冷却水が燃焼室に漏れ出し、異常な冷却水の減少が発生します。
通常、冷却水はほとんど減らないものですが、補充してもすぐに減る場合は要注意です。
ラジエーターキャップを開けると白い蒸気が立ち上ることがあり、これは燃焼室内に冷却水が入り、高温で蒸発している証拠です。
定期的に冷却水の量をチェックし、異常があれば早めに対処することで、エンジンへのダメージを最小限に抑えられます。
オーバーヒートしやすい
ヘッドガスケットが損傷すると、冷却水が正しく循環せず、エンジン温度が上昇しやすくなります。
特に、坂道走行や長時間の運転時に、水温計が通常よりも高くなる場合は注意が必要です。
最悪の場合、オーバーヒートによってエンジン内部の金属パーツが変形し、修理が困難になることもあります。
もし水温が異常に上がった場合は、ただちにエンジンを停止し、原因を調べることが重要です。
エンジンオイルが乳化する
冷却水がエンジン内部に漏れ込むと、オイルと混ざり合い、エンジンオイルが白く濁る「乳化現象」が発生します。
乳化したオイルは適切な潤滑性能を発揮できず、エンジン内部の摩耗を早める原因となります。
オイルキャップを開けたときに白っぽいクリーム状の汚れが付着している場合は、冷却水が混入している可能性が高いです。
こうした症状が見られた場合は、すぐにオイル交換を行い、ガスケット抜けの修理を検討する必要があります。
燃焼ガスが混入
ヘッドガスケットが抜けると、燃焼室のガスが冷却水に漏れ込み、ラジエーター内部に気泡が発生することがあります。
これにより、冷却水がうまく循環せず、オーバーヒートを引き起こす原因になります。
ラジエーターキャップを開けた際に泡が立っている場合は、燃焼ガスが混入している可能性が高いため、専門の整備工場で診断を受けることをおすすめします。
排気ガスが白煙
ヘッドガスケットが損傷すると、冷却水が燃焼室に侵入し、それが燃焼されることで白煙の排気ガスが発生します。
特に、エンジン始動直後や加速時に白い煙が大量に出る場合は、ガスケット抜けの兆候である可能性が高いです。
白煙の発生が続く場合は、エンジン内部のダメージが進行している可能性があるため、できるだけ早く修理を検討する必要があります。
アクティのヘッドガスケット抜け対策

ヘッドガスケット抜けはアクティトラックの持病として知られていますが、日頃のメンテナンスを徹底することで予防が可能です。
特に冷却系の管理をしっかり行うことで、エンジン内部の温度を適切に保ち、ガスケットに余計な負担をかけないようにすることが重要です。
ここでは、ヘッドガスケット抜けを防ぐための具体的な対策を紹介します。
冷却水(LLC)の定期交換
冷却水(LLC)はエンジンを適切な温度に保ち、オーバーヒートを防ぐ役割を持っています。
しかし、長期間使用すると冷却性能が低下し、エンジン内部の腐食や錆の原因になります。
アクティトラックでは、一般的に2年ごとの交換が推奨されていますが、過走行車や過酷な環境で使用する場合は、1年ごとに交換するのが理想的です。
定期的に冷却水を交換することで、冷却系のトラブルを防ぎ、ヘッドガスケット抜けのリスクを軽減できます。
ウォーターポンプの交換
ウォーターポンプは冷却水を循環させる重要なパーツで、劣化すると水流が弱まり、エンジンの冷却が不十分になります。
ウォーターポンプが故障すると、冷却水漏れや異音の発生、オーバーヒートの原因となるため、10万キロを目安に交換するのが望ましいです。
交換時にはタイミングベルトと同時に作業を行うと、整備コストを抑えることができます。
異音や冷却水の減少が見られたら、早めの点検をおすすめします。
冷却ホースとラジエーターの点検
冷却ホースはエンジンとラジエーターをつなぎ、冷却水を適切に循環させる役割を担っています。
しかし、長年使用するとホースが劣化し、亀裂や硬化が発生して冷却水漏れの原因になります。
また、ラジエーター自体も経年劣化によって詰まりや腐食が進むことがあります。
定期的にホースの柔軟性やラジエーターの状態を確認し、ひび割れや漏れがある場合は早めに交換することで、冷却系トラブルを未然に防げます。
エンジンオイルの適切な交換
エンジンオイルの交換を怠ると、エンジン内部の潤滑が悪化し、過熱しやすくなります。
これが原因でヘッドガスケットに余計な負担がかかり、損傷を引き起こす可能性があります。
アクティトラックの場合、5,000キロまたは半年ごとの交換が推奨されていますが、頻繁に高負荷運転を行う場合は3,000キロごとの交換が理想です。
適切なオイル交換を行うことで、エンジンの負担を軽減し、長持ちさせることができます。
電動ファンの作動確認
電動ファンは、ラジエーターを冷却するための重要な装置で、故障すると冷却水の温度が上がりやすくなり、オーバーヒートの原因となります。
通常、電動ファンはエンジン温度が上がると自動で作動しますが、リレーやセンサーの不良によって動作しなくなることがあります。
エンジンを暖機し、水温が上がった状態で電動ファンが正常に作動しているかを定期的に確認しましょう。
異常がある場合は、すぐに修理を行うことが大切です。
中古で購入する際の注意点

アクティトラックを中古で購入する際は、しっかりと車両の状態を確認することが重要です。
特に長年使用された個体は、エンジンや足回り、フレームの劣化が進んでいる可能性があります。
購入後に高額な修理費がかからないよう、事前にチェックすべきポイントを押さえておきましょう。
エンジンの調子をチェック
エンジンの状態は、中古車を選ぶうえで最も重要なポイントの一つです。
エンジンを始動し、アイドリングが安定しているか、異音がしないかを確認しましょう。
また、アクセルを踏んだ際にスムーズに吹け上がるか、回転数が異常にばらつかないかもチェックポイントです。
エンジンオイルの汚れ具合や、オイルキャップに乳化した白い汚れが付着していないかも見ておくと、ヘッドガスケット抜けなどのトラブルを未然に防ぐことができます。
フレームが錆びてないか見る
アクティトラックは農業や建設現場などで使用されることが多く、フレームに錆が発生しやすい傾向があります。
特に、雪国や沿岸地域で使用されていた車両は、塩害による腐食が進行している場合があります。
フレームのサビは車体強度に影響を与えるため、ジャッキアップポイントやサスペンション周り、フロア下を入念にチェックし、錆びや腐食がひどい車両は避けるのが無難です。
ミッションがスムーズか試す
アクティトラックにはMT(マニュアル)とAT(オートマチック)の両方のミッションが存在しますが、どちらも変速がスムーズか確認することが重要です。
試乗時にギアチェンジが引っかかる感じがないか、異音がしないかをチェックしましょう。
特にMT車では、クラッチの切れが悪い、シフトが入りにくいといった症状がある場合、クラッチやシンクロナイザーの摩耗が進んでいる可能性があります。
AT車では、変速ショックが大きい場合や滑る感じがある場合は、トランスミッションの不調が疑われるため、注意が必要です。
足回りのガタつきを確認
中古のアクティトラックでは、サスペンションのブッシュやボールジョイントが劣化していることがあります。
試乗時にハンドルを切った際の異音や、路面の段差を乗り越えた際のガタつきを感じる場合は、足回りに問題がある可能性が高いです。
また、ハンドルをまっすぐにしても車が左右に流れる場合は、アライメントが狂っているか、サスペンションに異常があるかもしれません。
足回りの修理は高額になるケースが多いため、事前にしっかり確認しましょう。
メンテナンス履歴を確認
アクティトラックの寿命や故障リスクは、これまでのメンテナンス状況に大きく左右されます。
前オーナーが定期的にオイル交換や冷却水交換を行っていたか、修理履歴があるかをチェックすることが大切です。
特に、ヘッドガスケットやウォーターポンプ、タイミングベルトの交換履歴がある車両は、今後のトラブルを回避しやすくなります。
メンテナンス記録が不明な車両は、今後の維持費がかさむ可能性があるため、慎重に検討しましょう。
アクティのヘッドガスケット交換費用は?

アクティトラックのヘッドガスケット交換費用は、修理を依頼する店舗やエンジンの状態によって異なりますが、一般的に10万円~20万円程度が相場です。
ヘッドガスケット交換はエンジンの分解を伴う大掛かりな作業であり、工賃が高くなる傾向があります。
ディーラーで修理を依頼すると、純正部品を使用するため費用は高めになりますが、確実な作業が期待できます。
一方で、町の整備工場や専門の修理業者で依頼すれば、費用を抑えられることもあります。
また、ヘッドガスケット抜けが発生する原因として、エンジンのオーバーヒートや冷却系の不具合が考えられます。
そのため、修理時にはウォーターポンプやラジエーター、冷却ホースの交換も推奨されることが多く、追加費用が発生する場合があります。
中古のアクティトラックを購入する際は、ヘッドガスケットの修理履歴を確認し、交換されていない場合は修理費を見越した予算を考えておくことが重要です。
アクティトラックのおすすめ年式は?

アクティトラックは長年にわたって生産されてきた軽トラックですが、特にHA6・HA7(2009年~2021年式)のモデルが人気です。
これらの年式は、エンジンの耐久性が高く、改良が重ねられた最終型であるため、比較的トラブルが少ないのが特徴です。
また、電子制御燃料噴射(PGM-FI)を採用しており、燃費性能や始動性が向上しています。
一方で、HA3・HA4(1990年~1999年式)の旧モデルは、キャブレター仕様のエンジンを搭載しているため、メンテナンスが必要になる場合が多いですが、構造がシンプルなため整備がしやすいというメリットもあります。
価格重視で選ぶならHA3・HA4、性能や耐久性を重視するならHA6・HA7がおすすめです。
また、アクティトラックは2021年に生産終了しているため、今後は中古市場での流通が減少し、状態の良い個体の価格が上がる可能性があります。
できるだけ走行距離が少なく、整備履歴がしっかりしている車両を選ぶと、長く安心して乗ることができます。
アクティトラックの試乗体験談

仕事で地方へ出張した際に、農作業でアクティトラックを使っている方と話す機会がありました。
その方は長年アクティを愛用しており、「この軽トラは本当に丈夫で、荷物もたくさん積めるし、狭い道でもスイスイ走れるから重宝してるよ」と語っていました。
すると、興味津々に話を聞いていたからか、「ちょっと乗ってみる?」と言われたのです。
せっかくの機会なので、少しだけ運転させてもらいました。
運転席に座ると視界が広く、細い農道でも走りやすい印象を受けます。
クラッチの感触は軽めで、ギアの入りもスムーズ。エンジンは660ccながら力強く、荷台に農機具を積んでいても問題なく加速しました。
ただし、舗装が荒れた道を走ると、サスペンションが硬めで揺れをダイレクトに感じる点は気になりました。
一方で、その方は「アクティは頑丈だけど、持病があるんだよな」とぼやいていました。
詳しく聞くと、「ヘッドガスケット抜け」が定番のトラブルだとのこと。
エンジンの冷却水が減るようになり、気づいたときにはオーバーヒート寸前だったこともあるそうです。
「それさえなければ最高の軽トラなのにね」と、少し残念そうに話していました。
アクティトラックの持病を総括
記事のポイントをまとめます。
- アクティトラックは農業や運搬用途で高い評価を受けている
- ヘッドガスケット抜けはアクティトラックの代表的な持病の一つ
- 冷却水漏れやオーバーヒートがエンジントラブルの主な原因となる
- オイル漏れは経年劣化により発生しやすく、定期的な点検が必要
- 足回りのブッシュやゴム類の劣化は乗り心地や操縦性に影響を与える
- フレームのサビや腐食は特に雪国や湿気の多い地域で問題になりやすい
- アクティトラックの乗り心地は硬く、長距離走行には向いていない
- 生産終了により純正パーツの入手が困難になりつつある
- ヘッドガスケット交換費用は10万円以上かかるケースが多い
- 中古車選びではフレームのサビやエンジンの調子を重点的に確認すべき